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2025年6月30日月曜日

海底ケーブルの話 キーホルダーには本物のケーブルが封入されています

過去記事に海底ケーブルの話を1度だけ書いていました。

それの続きでもありませんが、キーホルダーをネタにしつつ散文を。


最初にキーホルダーです。

これは、海底ケーブルの会社が顧客向けに作ったノベルティ。


キーホルダー 裏面


表面にはテキストなどが入っています。

裏は文字なしなので、中身がよく見える。

中に入っているのは、本物の海底ケーブルです。

 

ちなみに、過去のお話として日本の海底ケーブルはNTT 仕様とKDD 仕様がありました。

恐らく今は多くが共通化しているのでしょう。

前者のケーブルは、海底光ケーブルと呼ばれ、後者は光海底ケーブルでした。

微妙ですが名称さえ違ったのです。

 

古くからあるOFS ケーブルは、基本的に両社共通の仕様です。 

共同開発なのかは知り得ませんが、KDD 主体なのかもしれない。

理由は簡単、そもそも大規模な海底ケーブルは東京オリンピックの中継用だったからです。

1965年のオリンピックをアメリカ方面へ中継するのが主目的でした。

 

話を戻すと、このキーホルダーの中身はOFS ケーブルです。

オリンピックの時に作られたケーブルと、基本的な構造は同じハズ。

光ファイバーは進化が早いので違うでしょう。たぶん。

写真だと分かりにくいので、少し説明をしておきます。

 

中心にあるのは”鋼線”です。

その周辺には”光ファイバー”と”被覆”があり、一体化されています。

さらに外側には”三分割弧片”が配置されて耐圧殻となります。


その外は”複数の鋼線”が配置されていて、模様の様に見えるでしょう。

ケーブルの引っ張りに対応する、高張力鋼線が使われています。


鋼線の外には、薄い銅の被膜があります。

一定の厚みはあるのですが、加圧しながら加工するため見た目は薄い感じに。

鋼線の形状に沿って、食い込むように加工されます。

 

その上にポリエチレン樹脂のシース(被覆)があります。

樹脂のため絶縁素材になり、内部の電圧を遮断する働きを持ちます。 

写真では白い部分が該当します。

よく見ると2層構造なのも分かるでしょう。

 


樹脂の外側については、幾つかの仕様があります。

大きく分けて、何もないタイプと金属でカバーされたものの2種類。

※キーホルダーのケーブルは、何もないタイプ

 

後者については、外からの力を受け止めて内部を守るための装甲みたいなものです。

この装甲部分は太い金属線が使われるため、ケーブルの太さや重量にかなり影響します。

太くて重たいケーブルは、重装甲といことです。



光ファイバーと言っても、色々あります。

まず、素材の違いです。身近にあるのはプラ製、高品質系はガラス製です。

海底ケーブル用はガラス製。

更に、中身も色々と違いがあります。

内部にレーザー光を通すので、その波長や特性などに応じて違いがある。


短距離で汎用的なものはロスが大きくても良いですが、長距離系では通用しません。

そのため、ガラス製で高品質(伝送損失が少なく、高耐久)なものが使われます。 

 

昔は1つのファイバーに1波長で使っていました。

その後、波長多重の技術が導入されて容量が大幅にアップしています。 

その影響で古いケーブルもデバイス変更だけで容量変更出来ました。新しくケーブルを引かずとも容量が増えるので、コスト的には恩恵が大きいでしょう。

でも、メーカーの仕事は減ってしまいます。


さらにマルチコアなんて技術も出来ました。1本のファイバーに複数のコアが入る。

どのみちケーブルの心臓部は光ファイバーなので、ケーブル屋は儲からないというお話でもあります。



2023年6月23日金曜日

海底ケーブルの話

この数年位でしょうか、時々海底ケーブルの記事を目にしています。

昔は注目されることも無かったような気がするのだけど。


当方、以前海底ケーブルのメーカーに在籍しておりました。

故に中途半端な記事を見ると、”嘘だろう”とか”写真が違う”などと思う訳です。

丁度NHKの記事をちらっと見てきたところです。


普通の人は、海の底にケーブルがあるとは考えません。その点、意外性があって面白いのでしょう。また、インターネットを支える物でもあります。

一時期、海底ケーブルは軽視された時期があります。人工衛星で良いだろうという流れがあったからですね。

 

ケーブル内部には、光ファイバーが収容されています。6本くらい。

そこに光を通してデータを送るのですが、昔はMでした。今は、Tですね。テラ。

光ファイバーが進化したし、デバイスも進化しました。

昔のケーブルでも、デバイス交換でスペックは10倍なんてこともある。

 

一方で、かなり泥臭いというか土木な仕事でもあります。

敷設時は船で、全ルートをゆっくり走るのです。物理的にケーブルを落としながら。

素人に話をすると、海底にがっちりした基礎を作ってケーブルを格納するイメージを持たれることがありました。しかし、実態は全く違うのです。ただ、放置しているだけ。
もっとも、その位しか出来ませんけどね。

 

接続作業は大変です。船の上で2本のケーブルを接続する場合、天候が悪いと船が沈みます。

ケーブルは長く重量は相当なもの。それを船に引き上げたらどうなるか。海が平穏で、ゆっくり作業している時は良いですが、波でもあったら非常に危険です。

船の責任者は船長なので、危ないと危険回避します。しかし、ケーブルの作業者は繋ぐのが仕事なので、もう少し時間を稼いでくれと要望する訳です。見ていると冷や冷やします。

ちなみに危険回避とは、ケーブル切断を意味します。繋ぐ作業の途中であっても、切り落として逃げるという意味。


光ファイバーの接続は繊細ですが、それ以外は引っ張りに耐える金属体の処理が主務。平たく言えば建築現場の土木作業みたいなもの。

前者が模型の組み立て作業並みなら、後者は力仕事。両方熟すのは厳しいものです。

余裕があれば専属部隊を作るのでしょうが、現実は甘くありません。


今年のニュースだったと思いますが、台湾付近のケーブルが切断された話がありました。おそらく犯人は中国だろうとされています。

ケーブルを切るのは簡単と言えば簡単です。

通常は切られないように船に配慮を促しているので、逆に言えば危険地帯を告知している様なものです。大きな船で錨を下ろせば、事故は起きますね。意図的に