2021年2月18日木曜日

ジオコレ(ストラクチャー)開発記 3 ロープウェイ

3回目は最も開発に手間が掛かった製品、ロープウェイについて。

この製品は、ジオコレ10周年に合わせてリリースしました。全体を見渡しても動きのある模型は多くないので、少々特別な扱いになっています。


話は時間的に少し遡ります。

「風力発電機」という製品が出ていました。この模型は、モーターによりプロペラを回すものでした。動きのある模型の初回品です。

内部を見ると太陽電池とモーターが組み込まれています。光で発電してプロペラを回しているのですが、供給電力が限られるため普通のモーターでは無理がある。そのため、弱い電源でも回る特殊なモーターが採用されています。

このモーターは省電力なだけではなく、回転方向が左右どちらでも選択できます。普通のモーターは電極の設定で回転方向が決まりますが、そういった制約はないのです。
だから、スイッチを入れてどちらに回転するかは気分で?決まります。

また、回っているモーターを強制的に止めると、その反動で逆転を始めることも出来ます。この挙動はおもしろいですね。と、注目したところから、ロープウェイの開発が始まりました。

 

前置きが長くて失礼しました。

そんな経緯があり、風力発電機あってのロープウェイなのです。

 

実物のロープウェイは1本のケーブルに2台のゴンドラが吊るされています。そして、山頂と麓を往復して人を運びます。そんな乗り物を模型で再現しようとしたら、モーターは必須になります。また、往復させるためにセンサーやスイッチなども重要な要素です。

全部まとめて開発するなら、コストや技術力が伴わないとなりません。一介のストラクチャー担当には容易く取り組めない。でも、モーター1つですべて完結できるなら、コストは低いし何とかなりそうに思えました。

採用したモーターは乾電池で長期間稼働出来ます。そして、センサーなしでの折り返し挙動は、簡易テストで速やかに感触を得ることが出来ました。

その後は、手作りの試作機をいくつも作りながら、長時間運転試験も平行して行っていました。都合半年以上の長い期間の運転です。

モーター以外の機構部分は、シンプルなパーツで構成されています。いずれも、自ら図面を引いたり、フルスクラッチで作った試作機の集大成です。

これら一連の開発工程は、通常の模型と異なるため関係者には余計な手間をお掛けしました。この場を借りて感謝の気持ちを改めてお伝えいたします。

 

余談

ロープウェイは乗り物ですが、自動車とは違います。通常は起伏のある地形を一気に移動するために使われていますよね。山頂と麓という感じがイメージされるでしょう。

その場合、分かりやすい展示を行うにはジオラマが必須になる。そんな事は言うまでもなく当然なので、製品開発のスタートと合わせて、ジオラマ製作も手掛けました。

流石にプロのジオラマと比べて見劣りしますが、コスト低減やストレートに見せたいものを並べられる意味合いからは妥当だったと思っています。仕上げが粗いのは、素人臭さが感じられる要素だなと後から反省しました。



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