仕事柄、ストラクチャーの塗装は沢山熟しました。
原型の複製品を製作したり、金型のある製品の色替えマスターを作るなどの仕事です。
これらを通して、塗装の配色などを考えたり納得したお話など。
鉄道模型の主力は1/150scale のNゲージです。
電車はもちろん、建物なども比較的小さくて扱いやすい。走らせるためのレイアウトなども、コンパクトに収まります。(凝ると大きくなりますが)
そんなスケールの建物は、レイアウトの一部として使われます。
小さな模型なので、レイアウト含めて人の目線は上からの俯瞰です。
真横から見ることもあるでしょうが、それなりに限定的になります。
従って、塗装の肝は屋根です。
屋根には幾つかの種類(材質)があります。瓦、トタン、藁、コロニアルなどです。
種類によって色は違いますし、それなりに制約もあります。
例えば瓦屋根は、色的に黒系が基本です。グレーや茶色系もある。
また、日本瓦でなくて洋瓦だと、青やオレンジなどもある。
並べた建物群は、通常一貫性がない筈です。各建物が個別に色を決めているから、自ずとそうなるのです。海外などの統一された街並みは除いて。
そうなると、全部赤系とか、黒ばかり並べるのは違和感が出てしまいます。上手くバランスを取って配色しないとなりません。
平面的な屋根をベタ塗してはいけません。
それらが並んだ時に、綺麗過ぎるのです。特に古い建物のイメージであれば、汚れが必要になります。
汚し塗装というと、全体的な埃っぱさがイメージされます。
もちろん、それも大事なのですが肝は不均一性にあります。
平面の間を持たせるには、色ムラやシミのような汚れが必要です。
汚し系の塗装の再現(量産)は難しいです。
マスター品は問題なくても、量産する時に再現できるとは限りません。
工場側で上手く解釈して、再現されることを期待しつつガッカリすることもありました。
仕方ないことですが、作業者のスキルなどで左右されてしまいます。
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